【雨呼山】雨呼山登山&ツツジ満開のジャガラモガラ散策

『ジャガラモガラ』という、一度聞いたら忘れられない名前のすり鉢状の窪地が、山形県天童市にあります。
今回は、県指定文化財にもなっている観光スポット、ジャガラモガラと、山形百名山のひとつ、雨呼山(あまよばりやま)に足を運んできました。

ジャガラモガラとは

ジャガラモガラは、山形県天童市にある、東西90m、南北250mの大きなすり鉢状の窪地の名称。
ところどころに風穴があいていて、その風穴からは真夏でも3℃~7℃の冷風が出ているんだそう。
県指定の天然記念物にもなっている、とても不思議なスポットなんです。

今回は、ジャガラモガラに行く前に、山形百名山のひとつ、雨呼山に登ることにしました。

雨呼山とは

山形県天童市に位置する雨呼山は、その名の通り、“雨を呼ぶ山”という意味の山で、雨を降らせる竜神様が住んでいるという雨乞い伝説がある山です。
山頂は展望こそないものの、きれいなブナ林に覆われていて、新緑や紅葉の時期は最高の美しさを堪能できます。

出典:やまがた山

登山口付近には、ジャガラモガラという風穴地帯があり、特異な高山植物が楽しめるとして観光スポットになっています。
雨呼山登山と合わせて楽しむことができるので、ぜひ立ち寄ってみることをおすすめします。

標高 906m
日程 日帰り
登山適期 5月~11月中旬
チェックポイント ジャガラモガラ/あづま屋/村雲池/竜神ノ池/高滝山不動尊/三ツ石/レンゲツツジ

雨呼山の登山コース

山形百名山の参考サイト『やまがた山』には、以下の3つのコースが紹介されています。

雨呼山の登山コース

①ジャガラモガラコース 片道:1時間30分
②三ツ石コース 片道:2時間
③眺望コース 片道:1時間30分

①のジャガラモガラコースは、ジャガラモガラ駐車場からスタートする登山コース。
森林浴歩道のジャガラモガラコースから村雲コース、雨呼山コースをつないで山頂を目指します。
下山後、ジャガラモガラに寄り道するなら、この登山コースがおすすめです。

②の三ツ石コースは、じゃがらむら森林ふれあい広場の駐車場から出発し、三ツ石コース、雨呼山コースをたどって山頂に登る登山コースです。
三ツ石コースの登山道には、3つの巨大な岩があります。

③の眺望コースは、ジャガラモガラ駐車場に行く途中の眺望口駐車場からスタートする登山コース。
眺望コース、上下地獄コース、村雲コース、雨呼山コースをつないで山頂に登ります。
駐車場を出発して間もなく、舞鶴山や天童市内南西部が一望できる展望台(あづま屋)があります。

眺望口~あづま屋

今回わたしが目指すのは、ジャガラモガラコースのスタート地点。
雨呼山下山後、ジャガラモガラに立ち寄ろうと思っていたので、ジャガラモガラ駐車場まで向かいます。

ジャガラモガラ駐車場を目指して、舗装された林道を車で進んでいくと、案内板のあるちょっとした駐車スペースを発見。
「もしやここがジャガラモガラ口?」と、いまいちよく分からなかったので、車を停めて案内板を見てみることに。

現在地を見てみると、ここが眺望コースの登山口だということが分かりました。
あづま屋までそんなに距離がないようなので、展望を楽しむために行ってみることにします。

広めの緩やかな上り坂を少し行くと、向かって左手にあづま屋が見えてきました。

こちらの展望台からは、天気が良ければ以下の山々が見えるとのこと。

  • 飯豊連峰
  • 白鷹山
  • 朝日連峰
  • 月山
  • 越王山(出羽三森)
  • 八幡山(出羽三森)
  • 舞鶴山(出羽三森)

今回はあいにくの曇り空だったので、遠くの山並みは見えませんでしたが、天童市内のシンボル的里山、舞鶴山をはじめとする出羽三森を間近に眺めることができました。

眺望を楽しみながら、あづま屋でファミチキを食べたら、ジャガラモガラコースの登山口に移動です。

ジャガラモガラ登山口~雨呼山山頂

ジャガラモガラコースの登山口は、舗装された林道の突き当たり。
車を数台停めることができる駐車場には、このような森林案内図がありました。

案内図にもあるように、この辺り一帯はレンゲツツジが多いようです。
レンゲツツジの開花時期は一般に5月中なので、6月9日現在ではもう終わっているか、ギリギリ終わりかけが見られるかになるかもしれませんね。

 

さて、雨呼山に向かうジャガラモガラコースの登山口はこちら。
ジャガラモガラに向かう道とは違うので、注意してくださいね。

車1台分が通れるほどの砂利道です。
実際、奥のほうに車が1台停まっていました。

歩きやすい緩やかな上り坂をしばらく進むと、二股に分かれた分岐が現れました。

分岐なのに案内標識が見当たらず、どちらに行けばいいのかしばし悩みました。
まさかのバッテリー切れで、YAMAPのGPSを起動することもできなかったので、勘を頼りに左の道を進むことにしました。

すると、このような案内標識が出てきたので、勘が当たった!とホッとひと安心。
この先に“村雲の池”があるようです。

たくさんの杉に囲まれた村雲コースは、下草が鬱蒼と茂り、陽の光もほとんど差さないので、まるでジャングルにでも迷い込んだかのよう。
整備されていないとは言いませんが、整備され過ぎていないので、いかにも山!これぞ山!という雰囲気を味わうことができます。

いつ熊に遭遇してもおかしくないような雰囲気の中、恐る恐る歩みを進めます。
雨呼山というだけあって、カエルの合唱がとにかくすごくて耳が痛くなるほど!

間もなく、“村雲の池”に到着。

池と呼ぶには少しばかり大げさな感じがする水たまりが2つありました。

樹々はいつの間にかブナに変わり、気持ちの良い森林浴を楽しみながら一歩一歩登っていきます。

ここまでわりと緩やかだった上り坂ですが、やがて階段状に整備された急登が目の前に。

この階段状の急登がしばらく続くのですが、これがなかなかの曲者で・・・
せき止めてあった土が半分以上流出している箇所があったりして、足の置き場に苦戦する状態。
カニさん歩きのように、階段に対して足を平行にしなければならなかったりと、とにかく通常の階段の数倍疲れるんです。

振り返るとこんな感じ。

写真は、比較的余裕があったときに撮ったものなので、階段の状態も悪くないですが、ひどいところは土がほとんどなく、小さいハードルを越えていくような箇所もたくさんありました。

 

階段状の急登を越えると、雨呼山コースへ合流する分岐へ到着です。
この辺りで聞こえてきたのが、ギーギーという唸り声のような音。
熊か何か、獣の唸り声ではないかと肝が冷えましたが、耳を澄ましてよくよく聞いてみると、頭上で樹々がこすれる音だということが判明しました。

安心したのも束の間、ここからほど近い場所に下半分の皮が見事にはがれている木が・・・
これって、もしや熊が樹皮をはいだもの!?

熊をはじめとする獣の気配におびえながら、山登りはまだまだ続きます。

木の幹にぽっかり空いた空洞を見て、「誰かの寝床なのかな~?」と思ってみたり。

どんどん高度を上げ、稜線と思わしき場所に出ると、一部開けた場所からこのような展望が得られました。

駐車場の案内図にもあったように、至るところにレンゲツツジが咲いています。

そして、また展望。
眼下に広がっているのは天童市街地です。

分県登山ガイド『山形県の山』によると、雨呼山の山頂には展望がないらしいので、思えばここが唯一眺望のいい場所だったようです。

 

“雨呼山山頂へ”という案内標識に導かれながら先へ先へと進み、一瞬「山頂かも!」と思えるような紛らわしい偽ピークに一喜一憂すること2回。
キレイなブナ林に覆われた平坦な道を行くと・・・

やっと雨呼山山頂に着きました!

山頂は眺望こそなかったものの、ブナ林に囲まれていて落ち着いた雰囲気。

雨呼山の標高は905.5m。
標高を示す山頂の看板が壊れていたのが残念でした。

毎度お約束の三角点タッチもして・・・

時間が押しているので、かなり遅い昼食を大急ぎで済ませ、逃げるように下山です。

ジャガラモガラ

さて、駐車場まで下山し、車に大きな荷物を置いてからジャガラモガラへの散策コースへ。

歩きやすい山道を早足で下り、階段を下りると、整備された木道が現れました。
雨呼山への登山道がそれほど整備されていなかったのに対して、ジャガラモガラへの散策コースはしっかりと整備されていたので、歩きやすさがより際立ちます。

ジャガラモガラの風穴地帯は、今まさにレンゲツツジの見頃を迎えていました。

すり鉢状の窪地に、このような風穴がいくつかあって、そこから涼しい風が吹いてきます。
まるで自然の冷蔵庫のようで、まさにパワースポットという感じのミステリアスな空間でした。

時期的に終わりかけだと思っていたレンゲツツジですが、思いがけず満開の状態を見ることができ、正直、雨呼山登頂よりも感動しました。
風穴地帯で周辺よりも気温が低く保たれているせいで、開花時期が遅くなっているんですね。

 

雨呼山は、達成感を期待して登るとちょっとガッカリしてしまうかもしれませんが、整備され過ぎている山にはない、ほぼ手付かずの自然を楽しむならおすすめの山ではないかと思います。

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